冬の棒ノ嶺には低山に必要なものが詰まっている

2019年2月2日(土)

この前の日曜日に贅沢して木曽駒登山に行ってしまったので、今週はご近所低山ゆるゆるハイキングにしよう。アクセスが良くて楽しい棒ノ折山(棒ノ嶺)に行くことにする。帰りは高水三山方面に降りれば距離もそこそこ歩けて満足度度も高いだろう。
俺は東京東側だから飯能まで2時間掛かるけど、西武文化圏の人だったら1時間とかで着いちゃうんでしょ?今まで意識したことなかったけど、丹沢奥多摩よりアクセスいいケースも多そう。

棒ノ折山は西武線で一番手前の方にある人気の山だけど、高尾山や御岳山のように手が入っているわけじゃないしヤマをススメたい人に最適である。



のんびり朝6時台の地下鉄に乗り、2週間ぶりの飯能へ。飯能からさわらびの湯経由名栗行きのバスに乗る。シーズンはハイカーでごった返しているバスだと思うんだけど、冬だからか2日ほど前に雪が降ったせいか人がぜんぜんいない。これは期待できそうだ。

最近、奥多摩や秩父は冬に来るのがいいなあと思っている。御岳山みたいな観光地を除けば、初心者向けコースほど相対的に人が少なくなってお得感もある。



バスに揺られること35分、さわらびの湯に着いた。
バスは空いていて、途中10人くらいで乗ってきた部活の男の子たちがちょうどよく賑やかでいいやくらいなもんだった。トイレを済ませて8時40分頃出発。

ちなみに写真の右手に写っているのはさわらびの湯名物「なぐりづえ」というレンタル竹杖である。今日は高水山経由で軍畑に降りるつもりなので借りられないな。



バス停から車道を登って、5分ほどで有間ダムへ。おー、なかなかいい天気で、いい景色じゃないですか。金曜日、首都圏でも初雪が降って秩父あたりも白く雪が見える。今日は900メートルくらいまでしかいかないけど、あわよくば雪を踏めるかもね。



ダムを南下するとすぐ登山口に着く。良好なアクセスに親切な看板とほどよい整備。しかし人はほとんどいない。お得感ある。



スタートは杉林。だけれども、この山の素晴らしいところはこの景色が続くのはほんの数百メートルだけで、すぐに変化のあるマイナスイオン満点ゾーンにたどり着くことだ。軽装なのんびり先行者が数組いるけど、お先したら一人旅になった。そして全然寒くない。10℃くらいあるんじゃないのっていうポカポカ具合。



関東ふれあいの道にもなっている白谷沢(しらやさわ)コースを登ります。
スタート直後から左手に見える沢とすぐ合流する。道もそこそこ石も岩もあってネイチャー感あふれ飽きないし楽しい。人気の山だっていうのも頷ける。



冬だから落ちたら冷たそうだよねってのはあるにしろ、プチ渡渉(石の上は歩ける)しながら登るコースがこんな都会の近くにあることは本当に貴重だと思う。

ちなみに今日も防水性能ゼロのスニーカーで来たので沢の近くに寄っただけである程度濡れる。スニーカーでも全然大丈夫だけど、気にせずじゃぶじゃぶ歩きたい人は工夫なり自衛しましょう。



そして、誰も来ない。このマイナスイオンを独り占めだ。
こんなことならちゃんとカメラ持ってくれば良かったよ。



有名な棒ノ嶺名物ゴルジュ帯、も誰もいない。
誰もいない岩の間を歩く贅沢。この先、どこを歩けばいいんだろう?ここを行くのか!という迫力を堪能できます。

新緑と紅葉の時期が有名な山だけど、ベストシーズンは冬なんじゃないか。たぶん、オンシーズンはたくさんのハイカーで賑わっていることだろう。



そして、そこそこいい感じの急坂と鎖もあります。
すっごくコンパクトだけど、山の魅力がギュッと詰まったワンダーランドだ。素敵すぎる。



ちょっと登ったら、だんだんと白くなってきた。



優勝。あー、心洗われる。



関東ふれあいの道のこれ、わりと「あとXXkmもあんのかー」って気持ちになること多いんだけど、今日は「あと2kmしかないのか、もっと歩きたいのに」という気分であります。それくらい快適。



だんだんと雪が深くなってきて(つっても1,2cmだけど)、しっかりサクサクっと音がするようになってきたぞ。



なんか明るいな、と思って見上げたら稜線から日が上がってきていた。
木からパラパラ落ちる雪が日に当たってキラキラと舞っています。キラキラしまくり。とってもステキ。キャー。

ステキしてもひとり。



ということで、冬の白谷沢は最高なのであった。惜しむらくはあっという間に終わってしまうことくらいだ。

いい景色が観たいから高い山に登りたいんだ、っていうことはよくあるし、わかる。でも、日本の、首都圏の野山だって美しいです。豊かな自然、緑と青と白、岩と水の音、ひんやりした空気。

あれだね、ここには「低山」に求めるものがだいたい揃ってるよね。夏は暑いだろうし、人もたくさん来るけれど、でもそれに勝る自然がある。しかも、こんな都会から近くに。コンパクトな山だけど、そのぶんギュギュッと詰まっている感じがしてよい。

さすがに高尾山みたいにお店があってサンダルでも登れて、ってわけにはいかないけど、沢の公園で有名なあの山とかその山とか行くならここに来たほうがいいよな、っていう気はするよ。



そんなこんなで3kmも歩くと、一旦林道に出て沢道はおしまい。
ここまで上がったら以外にもしっかり雪が着いていて、軽装ハイキングの人たちは引き返したりしていた。

新しい雪の上をギュッギュッと言いながらガシガシ登る。



と思いつつ一度停止。ふと思い立って最近入手したチェーンスパイクを試す。

モンベルでもCAMPでもなく、Amazonマケプレ中華軍団のチェーンスパイクです。
驚異のお値段1,125円。袋には「KUMFI」と書いてある。くむふぃ?

KUMFI 18本爪 アイゼン チェーンスパイク 簡単装着 スノースパイク アウトドア トレッキング 登山 雪山 靴滑り止め用 収納袋付き
KUMFI18本爪アイゼンチェーンスパイク簡単装着スノースパイクアウトドアトレッキング登山雪山靴滑り止め用収納袋付き

んで、これはものすごく“透水性能”に優れた「テスラ」のスニーカー(1,780円)にくむふぃを組み合わせた図です。まーたお前はそんなんばっか買って、パチルで懲りたんじゃないのかと言われるかもしれないが全然何の問題もない。靴下のように一瞬で履けてバッチリグリップ、装着した瞬間風のように走って登れた。素晴らしい。

つか、ノーアイゼンでも登れる程度の雪ではあったんだけど、せっかく持ってきたから使いたかったんだ。持ってきてよかった。



棒ノ折山は稜線に近づくほど普通のハイキングコース然とした道になるんだけど、雪がいい感じにアクセントになっていてありがたい。



岩茸石(写真撮り忘れた)を過ぎるとあとは階段の登山道。



普段だったらわりと退屈な階段だけれど、雪がほどよくバリエーションを付けてくれていて楽しい。ここまで来てようやく山頂から降りてきた人とすれ違う。全身グリベルの人、スニーカー登山の人、いろいろ。



山頂見えた。



やったー。



正面に武甲山。
とってもいい天気で驚くほどまったくの無風。
無風なせいか若干モヤがかっているけれど、それでも十分。



人手が入ってのものではあるけれど、棒ノ折山は北面から東面に掛けての展望がとても良い(南面は展望がない)。

写真では厳しかったけれど、肉眼ではなんとか男体山、日光白根山はうっすら見えた。



おー。



山頂です。気持ちいい。
すごく満足度高い。30分くらいボーッと休憩。



気分が良いので、コーヒーを淹れて飲もう。

カップヌードルも持ってきた(つーか正月から入りっぱなし)んだけど、帰りに好きなラーメン屋寄りたいから我慢する。そればっかだけど。



雪のある山頂だがイカがおやつです。



休憩を堪能したら、東京へ向けてサクサクと進む。
東京の街を見下ろすと、霞の向こうにスカイツリー、つまりあの辺がウチのあたりである。



さすがにちょっと物足りないので、高水三山を通り抜けて軍畑駅まで駆け抜けることにする。
ここから南面へ向かうと、突然いつもの奥多摩っぽい林になるです。

先に結論だけ書いてしまうと、棒ノ折山で気持ちよく美味しいところをハイキングしたい場合は、サクッと登ってサクッと名栗湖に引き返して温泉入るのが一番良い。

実はこの日はこっからがここまでの倍歩く(10kmくらい?)んだけど、あんまし景色変わんないし特筆するべき点は少ないのでここからは巻きである。



少し行くと黒山。高水三山までの間で唯一の小ピーク。ここを過ぎると岩茸石山まで単調なアップダウンが4kmほど続く。



一箇所だけ、やまびこ広場という景色が開ける休憩場所があります。



だんだん雪が少なくなってきた。



右手を見るとしっかりした山体の山があり、あれは川苔山である。こっち面から見ると川苔山は良い山だなってのがよくわかる。ひさしぶりに登ろうかな。



午後の日差しになってきた13時過ぎに岩茸石山に到着。標高793m。
ここまで来ると突然オールドな山ガールの賑やかな声が溢れ出してきて雰囲気がガラッと変わる。ここから先は奥多摩のお手軽ハイキングコース高水三山エリアである。

高水三山はそれほど視界が良くないけど、この山頂は唯一景色が開けたポイントだ。はじめたばかりのハイカーを連れてきて上げると喜ばれると思う。が、御岳側からここまでの道が地味すぎるのが欠点ではあるけども。



「鈍行列車でーす!」とはしゃぐオールドお姉さんたちを追い越して、次の高水山へ向かう。今日は東側へ降りるので三山全部は回らない。



ここまで来ると、残りは純然たるハイキングコースなのでスピードを上げてラーメンを目指す。というかイマイチお腹の調子が悪いので走る。

山はどこも良いところ悪いところあるし、人によって好き嫌いや合う合わないがあるのでなんとも言えないのだけれど、俺は実はこの高水三山というエリアがちょっと苦手。景色が変わらない杉林の中に整備されたハイキングコースが何となくルーチンワークさせられているような気分になってしまって。



高水三山のひとつ高水山。展望は無い。



常福院というお寺があり、人里に戻ってくる。



奥多摩の里山らしい風景。これはこれで悪くない。
悪くないんだけど、棒ノ折山の北面と南面、標高が同じくらいで同じように沢が流れているのに表情が全く違うのが面白いなあと。



車道に出た。ここから駅までは車道歩き40分。



途中、一部サブカル界で有名?な国立奥多摩美術館というアトリエ的な何かがあります。日本国の国立ではないそうである。

▼参考

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15時ちょっと前に軍畑駅に着いた。ちょうど電車が来たから帰ろう。



そして15分、いつものように河辺駅で降りて南口の「紀の家」へ向かう。



完璧に整っている。

地味だけど確かな味の八王子ラーメンの名店ですよ。キリッとして本当にうまい。餃子ビール最高。



そして、今年2回目の梅の湯へ。

この間も書いたけど、山に行ったら山間の温泉地に行こうみたいな気分のときもありつつも俺はこの「平和な日常」感がわりと好きで、奥多摩方面に行った時は梅の湯率が高い。

2、3時間だらだらして休憩コーナーで逆転裁判観て19時頃青梅線で帰宅。

知らなかったんだけど、受付のお兄さんが教えてくれたことには年3回以上行くなら220円払って会員になったほうがお得なんですって、次来た時は会員になるよ、このペースだとあっという間だよ。

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