
初めてこの海抜ゼロメートル地帯の街に越してきたときはずいぶんと人工的で無機質なところだなと思ったものだけれど、気がつけば“東京”を凝縮したような都心と下町が入り交じる空間にすっかり取り込まれてしまい、この街で家族と過ごし、地域にガッツリと入り込み、今までの人生で一番長く住んだ場所になった。とても魅力的な街だと思う。
そんな海抜マイナス2メートルの街を離れ、海が溢れても沈まない西側の街に移ることになった。まったく希望や想像や、計画をしていた出来事ではなかったから、特別な思いがあったわけではなかったけれど、急用に迫られて、駅から遠くてもいい、ぼろくてもいい、自転車で生活できてたまに山に行ければそれでいい、とそんな気持ちで住むところを決めた。
自分の生活もガラッと変わることになった。人生2周目、よわくてニューゲームである。
でも、気持ちはマイナスから上を目指そうということで、意味は変わってもタイトルはこのまま、海抜マイナス2メートルのままで。
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