「バジュランギおじさんと、小さな迷子」素晴らしい“全部盛り”の作法

話題の「バジュランギおじさんと、小さな迷子」なんとかやっと観てきた。



※シネコンなのに専用POP無いからポスター貼っときました、な感じがよい。

ぜんぜん知らなかったんだけど、2015年の作品ってことで昨年のインド映画ブームを受けて今日本に引っ張ってこれたよっていう状態らしい。ポスターの「おっさんと女の子が旅する映画なのかな」くらいの情報以外アタマに何も入れないで観に行った。

観たかったのに本丸の新ピカで2週間しかやっておらず、しかも2週目は平日の午前のみという状態。どうしろっちゅーねん!と思ったら、なぜかわが町109木場でやってました。しかもでかい1番スクリーンで。えらいぞ109木場、よくやった。そして日曜日1回だけの上映はほぼ満席であった。

結論から言うと、評判どおりめっちゃいい映画です。ていうか観ようぜ。

大作インド映画ご多分に漏れず、すげーパワフルな映画である。パワフルなんだけど、武力でぶん殴るような作風じゃなくて、ストレートな人間愛でぶっ飛ばしにくる作品だった。なんじゃそりゃ。細かいことは置いといて雰囲気は予告編でも見てくれ。



※バーフバリみたいなテロップやめろwww

 
さて、タイトルからもキービジュアルからもわかるように、いい人なおじさんと迷子のかわいい女の子が旅しながら心通わせていくという物語である。ネタバレを避けるように書くけれど、ネタバレを心配する必要が無い程度にハッピーな結末が約束されている強固な(お約束とも言う)ストーリーだ。だがそれを全力でやるエンターテイメントは、強い。骨太で強力な映画だ。

正直言って、コテコテな展開も山盛りなのだけれども、感動が強い、強くて泣いてしまった。「XX回泣けます」「必ず泣けます」みたいなクソキャッチを付けているドラマ映画とは根本的に遺伝子レベルで異なる、強固な信念と絶対楽しませてやる、世界が観たいものはこれだろう、喰らえ見せてやるという全力ストレートが飛んでくる。そういう映画だ。3時間近くあるけど長く感じない。イケメンの濃いおっさん、これでもかという美女、圧倒的にかわいらしい女の子が踊る!歌う!笑う!泣く!愛する!全部盛りだ。全力でそいつらがやってくるぞ。

これはインド映画の中でも大作だと思うのですべてのインド映画がそうだとは限らないけれども、これは「全部盛りの作法」だ。しかも、「インド映画ってあれでしょ、突然踊りだすやつでしょ」みたいなステレオタイプからとっくに脱却して、人の愛情の細かい機微や、社会情勢と民衆の思いとか、とにかくあれだ、そういう多方面な要素を全部叩き込んでくる。すげえ、感動ポルノじゃない感動、感動パワープレイである。きっとかつて一番活気があった頃のハリウッドはそうだったのかもしれないけれど、今一番映画にパワーを掛けられるのはこの国だろうと思う。

ネタバレは書かないけど、トゥーマッチな要素の飲み込み吸収具合がすごい。
ヒューマンであり、ボーイミーツガールであり、ロードムービーであり、バディものでもあり、インターネット時代のカルチャーも取り込んでいたかと思えば、社会風刺も歴史問題も全部てんこ盛りでぶっ込んでくる。ところどころに、「あ、これはアレだな」って思わされるようなコンテクストがあるんだけれども、それらを全部勢いで消化していくパワーがすごいですね。最高だよ。

そんなテンコ盛りで踊ったり歌ったりするフォーマットを踏襲しながらも、

・インド迷子多すぎ問題
・宗教分裂しすぎ問題
・パキスタン国境どうなってんの問題

とかそういう歴史的なイシューを投入して、民族意識を盛り上げつつエンターテイメントで何とかしてしまう力技にこの映画の底力を感じる。繰り返すけど、はっきり言って筋書きとか読めまくりというか古典なんだけども、そんなのどうでもいいくらいフレッシュさがある。

なので、細かいことは抜きにして、観られるならなんとか劇場で観るといいよ。109木場、音量MAXにしてくれてサンキュー。

しばらくはアップリンク、キネカ大森、チネチッタあたりで掛かるみたいだけど、できれば大スクリーン爆音で観たいかも。

 
【併せて観たいかも】



当然とりあえずこれ。王を讃えよ!!



一昨年のアカデミー6部門ノミネート作、オーストラリア発、インド迷子多すぎ問題映画の金字塔。いい映画です。インドで迷子になるということがどういうことなのか、この映画を観るとわかります。



遠く東欧に飛んで、エミール・クストリッツァ監督の2005年作。
たぶんだけど、「バジュランギおじさん」のカビール・カーン監督はアメリカアジアのエンタメだけではなくて東欧の映画もよく観ているしクストリッツァ大好きなんじゃないかと思うのです。悲惨な国家、宗教、言語の壁を音楽と笑いと人間愛でぶち壊す作風には、ロマ映画の文脈を感じるんですよね。

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