秋の鳳凰三山へ(その1)

いきなり脱線するけど、山の記事って書くのが難しい。
例えば自転車の記事に比べて書くのが遅く、本数が少なくなりがちだ。これは個人差もあると思うけど、たぶん当たり前のことで、その結果、「有名な自転車ブログ」はわりと沢山見るけど、「有名な山ブログ」というのは結構少ない。総人口は似たようなものかもしれないけれど、ブログ村とかを見る限りは登山より自転車のほうが数が多い。

山登りにはヤマレコのようなサイトがあって、自転車はブログの方が多いね、なんていう事情もあるかもしれないと思ったけど、実際に自分がブログを書いてみるとこの因果関係は逆だなっていうことがわかる。向き不向きがあるのだ。

もちろん、自転車みたいに平日でもサクッと近所をトレーニングしてくるだけでネタになるのと、週末がっつり山に入るのじゃ頻度からして違うじゃん、っていうのも事実ではあるんだけど、実際に人気がある山ブログでも読み応えのあるサイトは「一年前の山行をやっとアップできた」みたいなところが多いように思う。行動に対して記事を書くのが間に合わないのだ。

この、山ブログのジレンマについていくつか思い当たることを書くと、こういうことだ。

  • 基本的に休日しか行けない。本数が少ないと書く記事は少なくなるし、毎週山に登ってるとブログを書く時間が無くなる。
  • 1日の行動時間が長く、帰ってきてからその日のうちに記事を書いてアップすることが困難である。
  • 歩行速度が遅いので、風景写真がなかなか変わらない。
  • そのわりに、基本的に移動中は写真が撮れない乗り物系とは異なり、やたらたくさん写真を撮ってしまい、選別やコメントの作業ボリュームが重くなる。
  • 要点を端折りすぎると淡々としていてイマイチ面白くない文章になりがち。
  • 書くべき項目が揃っているヤマレコにアップしたほうがラクだしSNSとして楽しめるから良いね。
っていうことか。そうかわかったぞ!
ちなみに、過去のブログでも山記事だけ書けずに1日目だけで断念、というのが多い。去年の夏なんて、結構山に登って充実してたのに、その期間だけすっぽりブログ書けずに抜けてるもの。

ってなわけで自分に言い訳しつつ考察しつつ、閑話休題。




10月31日(土)からテント1泊で南アルプス鳳凰三山へ行ってきた。メンバーは相棒のめん君と2名。山は先月息子と登った丹沢以来、大きい山は6月の常念岳以来だ。

朝5時、始発の都営新宿線に乗って終点の笹塚でめん氏のエクストレイル号に拾ってもらい、一路中央道を西へ。

南アルプスは一昨年登った北岳以来だ。
この日どこへ行くかはわりとすぐ決まった。先日自転車で甲州街道走った時に鳳凰三山アクセス良くていいなと思っていたのだ。華やかな北アルプスや八ヶ岳もいいけど、「日本の野山」っていう風情の渋みがある山に登りたい気がした。

最近運動不足で全然体力が無く、前回の蝶ケ岳~常念岳の周回でえらい苦労したので、今回はゆとりのあるルートで体慣らししつつゆっくりと山を楽しもうじゃないか、って話になり、晩秋の北アルプスは既に冬山シーズンだし、南もちょうどこの文化の日の飛び石休で通常営業は終わりだということで、行き先はあっさり青木鉱泉からの鳳凰三山周回コースに決まった。

本当は電車で行って帰りは飲んで帰れるといいなと思ったけど、朝一のあずさでも朝一のバスには間に合わない、のでまためんトレイル号の世話になることに。


駐車場はそこそこ賑わっていた。韮崎から北杜市に入り、20号を左折。わりと簡単に着いた。東京人にとって、北アルプスと比べると南、特に鳳凰三山は圧倒的にアクセスが良い。道も良いのですごく行きやすい。

これなら実家のロードスターでも来れるかなぁ、とか思いつつ。
スタート地点はちょうど紅葉の季節だ。

青木鉱泉。バス停と自販機があり、1,000円で温泉も利用可能とのこと。
駐車場は1日750円、1泊2日で1,500円だ。

9時、控えめな登山口をスタート。

この日のルートはドンドコ沢登山道を登って鳳凰山荘へ。明日、地蔵岳から三山を縦走して中道ルートから降りてくる。

山に入るとすぐ、赤、黄色の紅葉が迎えてくれた。

山は晩秋、登山口の高さで紅葉の季節なのはいいなと思った。考えてみれば、紅葉の山登りをした記憶がないのでちょっと嬉しい。

それっぽい紅葉写真を撮ろうとパシャパシャしながら進む。
曇りの日の紅葉写真って難しいんだね。なんか写真が白いなーと思いつつ、ホワイトバランスを調整するべきとわかったのは100枚くらい撮った後だった。

前の週の天気予防は不穏な感じだったけれど、低気圧は前日までに去り、この日の朝は薄曇り。雨の心配は無く、日曜日は晴れそう。

沢沿いを進む。

沢沿いの道は楽しい。風景に変化があるし、それに水に困る心配がない。前回、常念岳で水計画を間違えてひどい目にあったからな。

まっかだな、まっかだな(パシャパシャ)。

森が明るい。
この辺は標高1,100mくらい、まだまだ野山の風情だけど、秋の山って鬱蒼と茂った葉が落ちて明るいんですね。

ビューティフルですね。

テント装備で荷物は重いが、まだまだ斜度が無くて元気なので快適に進む。

あまりテントの人には会わなかった。距離が短く小屋までが急登だから荷が軽いほうがより快適なんだろうなとは思う。うちらが出発遅すぎるだけかもしれんけど。

里山のような紅葉の層を抜けると、小さな沢を横切る道に出た。

きれいな沢なのでおっさん写真撮ってもらうの図。

ドンドコ沢ルートは4つの滝を巡るルートだということで一瞬ここが滝か?と思ったけど、そんなことは無くて、4つの滝はもっと本当にでかい滝だった。

この日、巣鴨のゴローでオーダーして作ったとっておきのブーツをデビューさせためん氏、沢をわたろうとするの図。
……なのだが、なにか様子がおかしいぞ、の衝撃写真。

手のポーズと、左足の角度に注目。

……この直後、彼はこの体勢のまま音もなくザックから沢の中へゆっくりと転がっていくのだった……もう10月末なのに無茶しやがって。

10秒後の図。チャプン、という音がした気がする。たいへんだー。

やばい、大丈夫か!といいつつ笑いが止まらん。ボーっとしてて決定的瞬間の写真を撮っていなかったのが悔やまれる。

被害は右足水没のみで良かった良かった。彼はずっと気持ちわりーって言ったり、明朝靴下が凍ってたりして大変そうだったけれども。

斜面の角度が変わると、山肌の表情がガラッと変わる。

北向きの面にはシダと苔が。森は美しくて表情豊かだ、日本の山は美しい、と思い満足しながら歩く。

心洗われて本気でそう思いながら歩いているが、心が汚れている時に思い返すとアジエンスのキャッチコピー的なポエムを頭に浮かべながら歩いているとも言える。

小道に陽が差してきた。標高が上がるにつれ、広葉樹から針葉樹が増え、紅葉から緑の葉へと植生と景色が変わっていく。北岳に登った時も思ったけど、「日本の山」を感じたければ、野山の植生が豊かな南アルプスはいいなあと感じる。

まあ、海外の山に登ったことないから日本の山しか知らんのだけど。

また沢があった。
朝食もそこそこに出発したのでここいらで小休憩を取る。やたらおにぎりを買ってしまったので、2つ食べる。俺は燃費が悪く、常に何か食べていると言われる。
めん君は沢に落ちなかった。残…良かった。

ここからさらに登ると斜度が上がり岩が出てきて本格的な登山の様相になってくる。でも、道はよく整備されていて難所もなく、とても歩きやすい道だ。鳳凰三山が日本アルプスの入門に最適、と言われるのもわかる。

少し行くと1つ目の滝、南精進ヶ滝に出た。

でかい!

すごく立派な滝だ。高度、水量ともに申し分ない(何がだけど)。
正直、もっと小さいと思ってたしこんな近くから見られると思ってなかったのでちょっと感動したよ。

この展望台になっている場所から少し下から滝壺の前にも出られるようだった。

この流れが釜無川になって、富士まで下るのだろう。
妻が結婚するより前、学生の頃に山梨に住んでいたことがあるっていうことで釜無川、笛吹川のあたりは何かと縁がある。一帯の景色の源流がここなのかと思ったらすこし感慨があった。

アー!!

コケるポーズなどしつつこけずにまた沢をいくつか渡る。

2つ目の滝、鳳凰の滝へ。

この滝は登山道沿いではなくて、ルートからちょっと離れたところにある。200メートルくらいかな?往復10分くらい、寄り道していく。

左右両サイドから落ちる。先ほどの精進ヶ滝とはまた異なる、岩岩しい滝でした。

滝めぐりも面白いなあ。時間あるし、あと2つの滝もしっかり寄っていこう。

気がつけば、岩肌の風景に。

大きな岩が沢山出てくる。白い岩の山は好きだ。かっこいいし、登っていて楽しい。

古い看板だ。

3つ目、白糸の滝。

富士宮の白糸の滝のようなのを想像してたら違った。滝から落ちて岩の斜面を滑り降りる水の流れが無数の糸のように見える、っていうことだと思う。たぶん。

植生が変わっていく。岩とコメツガ、シラビソの森へ。

この、登るにつれて生えている木が変わっていく感じがとても好きだ。

晩秋の山では花はひとつも見なかったけれど、植物の力みたいなものはいくらでも感じられて飽きない。

登っているはずなのに、突然小川をハイキングしているような感覚になる場所があったりしてやっぱり飽きない。良いルートだな。

最後の滝である五色滝へは川沿いからでも行けるようだ。
登山道に戻れるかどうかわからなかったので、めん君をメインルートに残して一人で川沿いへ。

結果的には正解だった。とても美しい道だったよ。

滝が見えてきた……うわ、あれすごいぞ!!

うおおおー!!
ウヒョー!!

五色滝、4つの滝の中でも一番堂々とした滝だった。
大きさも然ることながら、なるほど岩肌が複雑な七色(いや、五色と言ってるから五色なのか)に見える。落差は70mくらいだろうか、立派だ。感動した。

目の前の岩に登ると、水しぶきが飛んでくる。

深い滝壺はなく、大量の水が一気に落ちて弾けている。

滝の上でめん君が待っていた。滝の前からも登山道に上がることができたようだ。
ヒジョーに感動したので、ドヤ顔でドヤ写真を撮り、ポエミーなポエムとともにFacebookに投稿。

大自然を満喫してるのにスマホをいじっているのもどうかと思う程度にネイチャーだった。

五色滝から上を目指すと、道は一気に針葉樹林へ。
シラビソからダケカンバ。

まるで蜂の巣のような樹の幹を横目に歩くと、ここで少し道を下る場所に出た。

なんだここは。

ふぉー。

ひょえー。

シシ神様や乙事主様が住んでいそうだ。

どこへ迷い込んだんだっていう不思議な空間だ。

三途の川ってこういう感じなんだろうか?
窪地になっていて、周囲を山に囲まれ静まり返っている。この季節に来て良かった。

川原?砂浜?

花崗岩の砂だ。これがこの独特な異次元ぽいあの世感を醸し出している。

標高は2,400m、もうすぐ鳳凰小屋だろう。

シャリ、シャリと不思議な足元を踏みながら進む。

15時過ぎ、ほどなくして鳳凰小屋に到着。

思っていたよりずっと綺麗で近代的な設備の小屋で、多くの登山者で賑わっていた。

この日の行動は6時間、お疲れ様。
到着遅い方だったけど、俺たちにしてみては極めてまともな行動計画である。いつも遅いからなぁ。

広くはないけど、ピカピカに整備されたテント場。石ひとつ落ちていなくてとても快適そうだ。

空いた場所にテントを張って一息つく。

時間がたっぷりあるのでゆっくりできたけど、11月に入ろうとする山の夜は早い。
夕食にしようとしてたらあっという間に夜になった。

この日の晩飯は、レトルトカレーとスンドゥブスープ+そこに残ったおにぎりを突っ込むという雑&謎メニュー。

今回平日時間がなくて、まったく充実した飯計画を立てている時間が無かったので前の日寝る前にまいばすけっとでパパっと調達してきた。次回はせめて献立のバランスくらいは考えてこよう。

ていうか、慣れてくるに従ってだんだんこの辺の+α関連がテキトーになってくるなー。

小屋でビールがあるか聞いたら、閉山前なので売り切れたとのこと。

日本酒ならあるよ、ということで買ってきたけど当たりだった。
この時点で気温は0℃前後。熱燗にしたらサイコーに美味かった。ハマりそうだ。

めん氏がハムを振る舞ってくれた。うまい。

がっついたため一口食ってから写真を撮っている。
肉はいいねぇ、リリンが生み出した文化の極みだよ。

めん家の奥さん&幼稚園の娘ちゃんとのテレビ電話などを横目に見てほのぼのリア充めなどと思いつつ、アルコールも入って満足。そして星がきれい。

19時、寒いし眠くなってきたので、もう寝てしまおう。
御来光は見送ることにした。時間はたっぷりある。明朝は早く起きて、ゆっくり食事して、6時に出よう。

そんな風にゆとり気分で思いながらシュラフに潜り込んだんだ、
この時は……
その2に続く。




(この日撮った写真は450枚、翌日は700枚近く撮った。で、この記事はなんと書くのにゆうに2時間はかかった。長文遅筆な俺いいかげんにしろ。なので、その2が書かれるはまたいつになるのかわからぬ。連続ものを書く順番を気にして思いついたことが溜まっていくのがストレスになるので、間に別の記事が挟まるかもしれない。)

 

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