急行はまなす

青森駅に、急行はまなすが停まっている。ぼろぼろの青い車体に機関車の音。最高に上がる。こんなの興奮するしかない。
小さな頃、一時期青森に住んでた。幼くて記憶はぼんやりしてるけど、やんごとなき事情があって一家でほとんど何も持たずに夜行列車で東京に帰ってきた、特急はくつるの寝台の風景をよく覚えてる。だから、いつかそのうちまた寝台列車に乗ろうと思ってた。
前泊で出張にいかねばならぬ、どこもかしこも予約はいっぱい。どうする?なら、夜行列車で行けばいいじゃない。



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ちょっと時間は戻って青森駅に着く数時間前、9月30日17時30分。

俺はこの日で解散するとあるチームの仲間と別れ、次の日からの仕事のために札幌へと向かっていた。

(仕事のやる気を感じさせる怪しい大荷物を持って。)

(電車で)

新青森行きのはやぶさに乗るのは初めてだ。

自転車乗りの新幹線特等席、最後尾。荷物置けまくり。

「最近、ビジネスホテル取れないんです!」
「旅費もケチっていいです!」
「むしろ車中泊が、いえ、車中泊でいいです!」

等々、サラリーマンの鏡っぷりを発揮してハードな出張に備え、みどりの窓口で切符を買ってきた。まずは新幹線で青森へ向かう。

はやぶさは速い。先ほど別れた仲間へお礼のメールを書いていたら、気がついたら着いていた。
新青森からは3両の奥羽本線でひと駅、青森へ。

父の田舎。だいぶ前の法事以来しばらく立ち寄っていない。
知人もいるので早めに出て立ち寄れば良かった、ってそんな余裕は無かったんだけど、この日はスルーだ。

JRは600km以上の旅程だと途中下車できるのだ。今度があればそうしよう。

急行はまなす、青森発22時18分。1日1往復。

なお、車内販売はございません。

ホームへ降りると、そこにはすでに青い列車が停まっていた。

最後の夜行急行はまなすだ。

津軽海峡線を牽引するED79型電気機関車。

青函トンネルを走るための列車。
来年3月、新幹線が函館まで開通したとき、入れ替わりで使用できなくなることが決まっているそうだ。新幹線とは共存できないのだ。

はまなすのヘッドマーク。

先立って、北斗星は半年前に無くなった。豪華特急カシオペア、トワイライトエクスプレスとともに最後の半年を走る。

札幌へ。

ちょっと高いけど、B寝台の切符を買った。
寝台はあえて上段にしてもらった。

普通車。車両はずいぶんボッコボコだ。今まで何万km走ってきたのだろうか。

はまなすの人気車両、のびのびカーペット車。

寝台料金なしで横になれる。確かに、十分快適そうだし一番人気なのもわかる気がする。

なんとも微妙な使い勝手のテーブル。

社内へ。

JRが豪華客車用に新造したものではなく国鉄を感じる寝台。しっかりしていてとても作りが良い。
古いけど、手入れが行き届いて素敵。

枕、シーツと寝間着。

男子の夢、「B寝台上段で自転車のメンテをする」の図。
言っておきますが、いや言うまでもなくあくまでも業務上多忙激務を想定して速やかに移動を行うための工夫であります。出張がんばります。

※っていうネタをSNSに投下するためだけに荷物解いた。実際に油の付くことをしていたわけではありません、念のため。

ちなみに、これじゃ寝られないじゃん!と思いきや、上段は通路の上が荷物置き場として使えてこれらが全部収まるので実はけっこう快適だったりする。

 函館や苫小牧の駅も見たいけれど、実際のところここのところハードすぎて寝ないとけっこうしんどい。寝台の寝心地を存分に試したいと思う。

昭和なデザインのランプがいい感じ。おやすみなさい。

……

気が付くと汽車は千歳の近くまで来ていた。

夜中、牽引車の切り替えで駅に停まっているところで目が覚めたけど、そこそこ快適に眠れたと思う。

途中、室蘭か苫小牧のでかい工場を見学する夢を見たような気がする。

質実剛健な設備を眺めながら顔を洗っていたら、もうすぐ到着とアナウンスが流れた。

朝6時、はまなすが札幌に到着。7時間40分の旅だった。

先頭まで車両を眺めると、そこには星のマーク。北斗星カラーだ。

北海道を引くディーゼルのDD51、かっこ良くて鼻血出る。

この国最後の夜行寝台急行。来年3月に新幹線が函館まで伸びたら、無くなってしまう汽車。いつかの特急と向かう方向は逆だけど、乗れて良かったな。
 

さあ、仕事だ。

肌寒いと思ったら、気温は10℃を指していた。

大雨になるって聞いていたけど、低気圧はすでに去って良い天気だった。

モスでモーニングして仕事へ向かう。
疲れたけど、前乗り前泊で良いホテルに泊まるより、ずっと贅沢な気持ちになった気がする。

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