サンストリート亀戸の思い出

今週のお題「好きな街」 

とあった。街全体の話題じゃないけど、付けておくことにする。俺の住んでいる街にあるショッピングモールの話をしたい。

www.sunstreet.co.jp 

うちのすぐ近所の京葉道路沿いに、サンストリート亀戸という小さなショッピングモールがある。馴染みのある人たちはみんなサンストと呼んで親しんでいる。

オープンから18年、この3月末で全館閉店することが決まっている。
日常の生活導線として毎日のようにここを通るけど、営業終了が決まって半分の店舗が空き家になってしまった今になってなお、日々の買い物をするママや子連れの家族でいつも賑わっている。営業不振で廃業するわけでは無いだろう。 

 地元の人はみんな知っているみたいだけど、このショッピングモールは1997年、SIIの工場の跡地の一時利用として15年限定の定期契約でオープンしたということだ。実際は15年経った後も3年間営業を延長した。

※土地自体は今もセイコー系列のもので、最近までサンストの隣にSIIの事業所が残っていた。というか、サンスト自体がSIIの子会社経営だったはずだ。

詳しいことは知らないけれど、今後はいよいよサンストを取り壊し、高層マンションと商業棟からなる大型の複合施設に建て替えられるようだ。
※余談だけど、錦糸町のセイコー工場跡地は2006年まで待ってオリナスになった。たぶん、ああいう感じになるのだろう。

サンスト自体、長年使うような建て付けの建物にはなっておらず、俺がこの街に越してきてからの十数年を振り返ってもだいぶぼろくなったなあという印象がある。でも、箱物としてそれほど古い建物ではないにも関わらず、今ではすっかりこの街の風景に馴染んでしまったこのやれ具合に愛着を感じて少し、いやかなり寂しく感じている。

亀戸だから亀。 

 狭いけど、飲み物とベンチがたくさんある。 

  

 俺はこの街に来てそこまで長い人間ではないので、越してきたときは既にサンストはあった。まだ新しい施設だなって思っていたけど、考えてみればその頃は世の中自体ショッピングモール的なものはまだそれほど多くなく、自分の中でこのタイプの日常系モールの比較イメージは地元にあるグランベリーモールくらいで、あとは南大沢とか御殿場みたいにアウトレット中心のショッピングモールと、IYとイオンの巨大スーパーくらいのものだったと記憶している。

その時は生活圏内にある大型商業施設って南砂のジャスコと木場のヨーカドーくらいしか無かった気がするんだけど、あれよあれよとオリナスができ、豊洲のららぽーとができ、スナモができ、北砂のアリオができ、ソラマチができた。気がつけば自転車圏内に7個も8個もショッピングモール的な施設がある。こぢんまりとしたサンストは随分身近というか、ある意味近所の商店街と同じような親しみやすさが売りの場所に(相対的に)変わっていったような気がする。

地元下町の人たちからするとサンストだって新参者感のある場所だったって聞くんだけど、この小さなショッピングモールの特異性はその余所者感をすっかり打ち消すことに成功している。後からできた、人気のブランドを多く入れた屋内型のショッピングモールとは明らかに方向性が違う施設なのだ。

 

我が家は地元の町田からこの街に引っ越してきて、その次の日に初めてこの小さなショッピングモールに立ち寄った。
まだ近所に何があるかよくわかっていなかったし、子どもたちも小さかったので、クルマに乗って大きな駐車場に入れそうな場所が近くに他に無さそうで、サンストに入ってその当時あったイタリアンの店でピザを食べたのを覚えている。

同じ東京でも郊外で生まれ育った俺にとってはまだピンとこなかったのだけれど、都内に住んでいるとクルマの移動はそれほど便利なものではないのだ。 

というより、クルマは不要だった。俺の大好きなイギリス生まれのP10型プリメーラeGTは、その半年後手放すことになった。

こうして近所の下町の商店街と、歩いて行けるこのショッピングモールは幼子のいる我が家の日常になったのだった。

 

サンストはショッピングモールと言っているけど、流行りのブランドも無いし、高級店のアウトレットも無いし、屋根のあるフードコートだって無い。

以前は無印やコムサみたいにいわゆるモールに必ずある系なファストファッションの店もあったのだけれど、気付いてみれば最後まで残っているのはTSUTAYA、トイザらス、つるかめランド、ペットのコジマ、ヤマダ電機、ABCマートとライトオン、スタジオアリス、ドラッグストアとダイソー、いくつかの洋服屋と数軒のカフェとレストラン、そしてちょっと気が利いた雑貨屋さんがまた数軒。

このラインナップだけを見るとどう考えても、ショッピングモールというよりはベッドタウンのロードサイドという風情だ。妙に生活感がある。

 

地元企業やおきんの駄菓子屋もある。

 

でも、サンストの良いところは威張りの効く看板の数ではなく、ゆるく穏やかな時間の流れる空間だと思う。サンストはビルの屋内廊下というものがごく一部を除きほぼない。平屋に近い2階建てで、お店は屋外の通路に接していて狭いけどとても開放感がある。ある意味、贅沢な空間だと思う。

入っているお店は郊外のロードサイドのようなラインナップだけれど、ここは東京の下町で広い土地があるわけではない。そのお散歩感と言うか、徒歩で来ることを前提とした凝縮感が生活との密着感と相まって独特な雰囲気を作っている。

以前はよくビジネスニュースで取り上げられるのを見たのだけれど、サンストの営業戦略は独特だ。三井系や電鉄系、二大スーパーのような大手が作る店作りとは根本から異なる。

敷地内の真ん中にはステージがあって、ここでは毎週誰かしらがショーやコンサートを行っている。大手資本によるカチッとしたテンプレートが存在しない分、イベントとの距離感が近くライブ感がある。アイドル好きな人であれば、サンストが駆け出しアイドルの登竜門だったというのは良く知られているところだろう。

俺が初めてこの街に来た頃も、この小さなステージで一番人気だったのは中学校を出て上京したばっかりといった風情の3人組のアイドルで、彼女達は日曜日、サンストのステージに頻繁に上がっては、のどかな会場でピコピコとしたテクノ・ポップを唄っていた。

10年後、まさか彼女達が世界中で戦えるこの国で最高のエンターテイナーになり、何万人も入るスタジアムを一杯に埋めて回ることになっているとは想像も付かなかった。正直、2008年にGAMEが出たときは頭をハンマーで思い切りぶん殴られたような衝撃を受けたのだけれど、それ以前の初期の曲は既にサンストの時点でかなりの完成度で唄われていた気がする。

Perfumeだけじゃなく、たくさんのライブを小さな頃の子どもたちと一緒にここで観た。奥華子が時かけの主題歌を唄った時も、吉田山田がテレビの主題歌で流れるようになったときも自分の友達のことのように嬉しかった。息子は彼らのサイン入りのCDをとても大事にしている。 

アーチストだけじゃなく、このステージにはいろんなものが上がった。何度もアンパンマンショーを観たのをよく覚えている。

 

年齢とともに観るものも変わる。リカちゃんを観て怖がったり、プリキュアを観たり。

戦隊やライダーの面々はよくここで握手した。電王とディケイドがちょっと小さかったのはご愛嬌だ。

 

敷地内には手づくりのおもちゃがあちらこちらに置いてあり、小さな子たちが遊んでいる。既成品もあるけど、木で作られたスマートボールや輪投げや噴水塔は豪華と言うよりは社員がみんなで作りました!感が溢れている。 

毎年夏には小さな子どもたちが下着一枚で噴水の周りを走り回っていた。この噴水は最後の夏まで小さな子どもの人気者だった。

結構大きくなってからも、夏になるととりあえず回っていた。

 

裏手の搬入口の前のスペースでは大道芸をやっていて、うちの子らはここにある滑り台でよく遊んでいた。

 

サンストの大手のショッピングモールとの一番の違いを一言で言うと、この「手作り感」なのだと思う。運営している会社も、手作り感を相当に意識して他所との差異化を図っていたはずだ。

敷地内を機関車が走っていたり、四季折々の出し物があったりするのはどちらかと言うと昔の公園にある遊園地のようなノリに近く、ところどころに置かれた100円乗り物やゲームコーナーと相まって、なぜかデパートの屋上やスーパーのゲームコーナーにいるような郷愁を感じさせる。

高度にパッケージ化された都会型のショッピングモールとは異なるものだと感じる。
敷地内(園内、と言いたくなる)にはデザイン学生が制作した装飾がなされ、地元小学校の子どもたちが書いた絵が飾られていた。

 

汽車(サンドリーム号という名前が付いている)は、閉店までずっと走っている。

サンストの亀は最後まで子どもたちが乗って遊んでいた。

 

サンストのTSUTAYAはこの近辺で一番品揃えが良く、単館系映画やロックのCDにもそこそこ強い。トイザらスや電気屋さんで買った製品がたくさんあるし、今うちにいるハムスターのマロン君はここのコジマからやって来た。正直、無くなってしまっては困るけれど、代わりを見つけなければならないのが切ない。

以前よくここの元楽というラーメン屋さんに行った。大盛りのラーメンと半分のぶためしを頼むと、子どもに取り分けて食べるのに調度良かったのだ。

元楽は蔵前に本店があるラーメン屋で、以前はららぽーとにも入っていた。今は銀座と虎ノ門にも支店があるけど、Perfume他たくさんのサインと共に亀戸からは撤退するようだ。

最後だからと、週末息子と元楽のラーメンを食べに行った。
今は息子も俺と同じラーメンを1杯ずつ別に頼んで食べる。ぶためしは半分のやつじゃなくて、一人分を頼んで半分こにして食べた。 

 小さなバイオリン弾きの少年は、今月で小学校を卒業する歳になった。
背は相変わらず小さいし、バイオリンはテキトーだけど、彼も来月からは中学生だ。

 

我が家の子どもたちはこの街で育っている。
だから、物心ついた時から、サンストが生活の一部にある。

今月で無くなってしまうけど、俺はサンストが大好きだ。 

 

今までたくさんの思い出をありがとうございました。

一、近所の住人として愛着をこめて。

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